3月3日(金) 雪旅籠の灯り(@西川町)

月山志津温泉の「雪旅籠の灯り」にやってきました。 イベントは今年で12回目の開催です。 この地域では、冬場は6mにも及ぶ積雪があります。 「雪を利用して、ここでしかできないことやりたい」 そんな想いから、この雪旅籠の灯りはスタートしました。

灯りが揺らぐ美しき雪旅籠

ライトアップされた雪旅籠が並び、とても幻想的な風景。 これだけの積雪量と歴史のある宿場町だからこそ実現できた、 この場所だけのイベントです。

幻想的な空間で楽しめるアイスバー

雪と氷にLEDを使って幻想的な空間を演出している「アイスバー」。 人気商品はホットワインだそうです。 景色を見たり、雪遊びするのとは一味違う、 大人も楽しめる「雪文化」がここにもありました。

月山和紙あかりアーティスト せいのまゆみ

雪旅籠の中にはグッズ販売や展示スペースなど、様々なコーナーが用意されています。その中で、心を穏やかにさせる美しい灯りと出会いました。月山和紙を素材に様々な「あかり」をデザインしているこの作品は、やまがた雪文化マイスターで、月山和紙あかりアーティストの せいのまゆみさん の作品です。お話しを伺ってみました。 Q. 月山和紙あかりを始めようと思ったきっかけは何ですか? 清野さん:仙台屋という旅館をやっていますので、その「おもてなし」の一つとして、 玄関に綺麗な灯りがあったら、お客様にほっとした気持ちになっていただけるだろうな、 と思ったのがきっかけです。 それに、ひいおばあちゃんの実家が月山和紙をずっと生業としていた家だったので 和紙の束がたくさんありました。それを利用して作り始めたんです。 みんなの心にほっとしてもらえる時間を与えられたらと思っています。

旅館 仙台屋の入り口にある月山和紙あかり

月山和紙あかりの温かみを感じられます

Q. 作品に対する想い 清野さん:私はここで生まれ育っているので、やはり自然の物をモチーフにしてきたいな、と思っています。例えば、月山の自然とか雪解け水のイメージで「しずく」という灯りを作りました。これからも月山の自然をモチーフに様々な作品を作っていきたいです。

雪解け水をイメージした作品「Drip-しずく―」

Q. 雪旅籠の灯りの魅力について教えてください。 清野さん:雪はどうしても、運転が大変だったり、あまりよくないイメージを感じることがあると思うのですが、雪の景色は本当に綺麗でその中で光る灯りは家では見れない綺麗さ・美しさがあります。そんな雪の良い印象や楽しさを皆さんに知っていただけるイベントになっていると思いますので、たくさんの方に知ってもらいたいです。 Q. これからの目標は何ですか? 清野さん:和紙は、今の時代では触れる機会が減ってきていると思います。灯りや和紙が、何か一つでも皆さんの生活の一部になってもらえれば嬉しいです。それを実現するためにも、これからも長く作品を作っていければいいなと思います。

▼ こちらの動画もご覧ください。 動画「第3回 雪旅籠の灯り」

せいのまゆみ プロフィール
山形県西村山郡西川町生まれ。曾祖母の実家が月山和紙漉きを職務としていた事から幼少の頃より月山和紙の世界に親しむ。東京の専門学校(製菓専門)進学、会社勤務を経て、2000年より実家である月山志津温泉 旅館仙台屋内用の月山和紙を使用したあかりの制作を始める。制作は幼稚園の頃に風船に新聞紙を貼ってお面をつくった記憶を基に、同様の技法であかりを作れるのではないかと試行錯誤の上、まったくの独学オリジナルでの技法を現在まで続けている。
月山志津地区は四百年以上前から三山行者の宿場町でした。この雪旅籠は、趣のある旅籠が立ち並ぶ当時の宿場町を再現しています。その土地の歴史と文化を大切にしながら新しいことにチャレンジしようという想いの結晶がこの雪旅籠の美しさなのだと思います。冬の寒さは厳しく、積雪量も多い地域ですが、それをプラスの資源として活用していくこと。その土地だから出来ることを探していくこと。それはきっと未来につながっていきます。今回取材したせいのまゆみさんを初め、イベントに関わるスタッフの皆さんのいきいきとした笑顔が、雪旅籠の揺らめく灯りで一層輝いて見えました。